こんにちは。篠原継之助です。
経営者として仕事をするなかで様々な方との繋がりから、今では多くの事業に参入しています。
小売業に関しては、2020年4月にセレクトショップ「Gift Communication」をオープンし来月で5周年を迎えます。
小売業をするにあたり、様々な店舗形態がありそれぞれに特徴や課題が異なります。
これから参入していく、参入を考えている方は、その特徴や課題を踏まえたうえでどの形態にするのかを判断することが重要です。
今回は小売業について店舗形態ごとの特徴や課題について書こうと思います。
業種と業態、専業店と専門店の違いとは?
まず皆さんは、業種と業態の違いについてご存知でしょうか?
業種とは「何を売るか」によって小売業を分類するものでいわば売る側の視点、業態とは「どのような売り方をするか」によって分類するもので顧客側の視点になります。
そして、業種を意識したお店を「専業店」、業態を意識したお店を「専門店」といいます。
専業店は食料品や薬、本などのように決まった商品を売るお店です。
例えば、薬を販売する専業店があったとすると、消費者は必要になった時にその薬を求めて来店しますね。
それに対して、専門店は特定のニーズを持つ顧客に対して、何をどのような方法で買ってもらうかを考えて売るお店です。
例えば、健康志向を持つ消費者の生活シーンを意識した商品を取り揃えた専門店があったとすると、健康志向の人にとっては、買うものが決まっていなくても健康のために良いものはないかと立ち寄ったりすることがありますよね。
昔はどの店舗形態も専業店でしたが、今の時代は顧客が主体になってきています。
生き残っていくためには顧客のニーズに応えられる専門店であることが大切なのかもしれません。
店舗形態によってどんな特徴と課題があるの?
先ほど専業店や専門店について説明しましたが、今の時代様々な店舗形態が存在します。
次は、店舗形態ごとにどんな特徴や課題があるのか、いくつかの形態についてご紹介します。
百貨店
百貨店は主に主要な駅前の立地にあり、ファッション衣料品を主力として、服飾雑貨や室内用品、ギフト用品を取り揃えており、最近では食料品にも力を入れています。
食料品は地下にあることが多く「デパ地下」という言葉は皆さんも聞いたことがあるかと思いますが、仕事帰りのOLやショッピングを目的に来店する消費者を対象に、惣菜やデザート、弁当や生鮮食品も取り揃えています。
百貨店では「衣料品」「服飾雑貨」「化粧品」などブランド品を中心に高価格で販売しているほか、他社との差別化を図るために、その百貨店オリジナルの商品を販売することも多いです。
高品質のブランド商品を高価格で販売することで、消費者の信頼を得ることができます。
百貨店の販売形態の大きな特徴は委託販売が多いことがあげられます。
委託販売とは、メーカーなどの仕入れ先企業の販売員が売り場に来て、仕入れ先企業の商品を売ることです。
ファッション性の高い商品は専門的な知識が必要になるが、百貨店の販売員は専門的な知識を持っていないことが多いため、専門知識を一から学ぶより、仕入れ先企業の販売員に来てもらう方が効率的ですよね。
委託販売の場合は、商品の所有権が仕入れ先企業側にあることが多いため、在庫が残ったとしても百貨店の在庫にはならず、在庫リスクを抱えなくて良いことはメリットですが、一方で販売した時の粗利益が少なくなることがデメリットになります。
そして、委託販売の場合は百貨店の販売員が直接消費者と関わることが減るため、消費者のニーズをつかめず変化に適応していくことが難しくなるという課題が出てきます。
また、仕入れ先企業から商品を買い取り販売する形態が買取販売です。
商品の所有権は百貨店で在庫リスクを抱えることになりますが、販売した時の収益は大きくなるメリットがあります。
現在では、粗利益率の高い一部の商品で買取販売を行う自主マーチャンダイジングという形態によって変化に適応していく百貨店も出てきています。
総合品揃えスーパー(SuS)
総合品揃えスーパー(SuS)は日本独自の発展を遂げた店舗形態で、アメリカのGMS(General Nerchandise Store)がもとになっています。
GMSは衣食住のうち、食と自動車を除いた商品構成であるのに対し、SuSは食も残った状態で発展していきました。
SuSの特徴は生活に必要な衣食住の商品を揃えていることで、食料品以外の商品が全体の半分以上を占めています。
そのため、消費者は他のお店に行かなくてもこの店で買い物を完結させることができます。
当初、SuSは商業集積地に出店が多かったですが、売り場面積の確保が難しいため、近年では郊外に展開することが増えました。
郊外に巨大な店舗を構えて、衣食住に関わる商品を幅広く揃え、安価で販売しており、消費者も車で来店するため、遠方からも来店してもらえます。
SuSを運営する小売業は、単独店舗ではなくチェーン展開していくことが運営の基本です。
扱う商品数が多いため、単独店舗では大量仕入れができず、仕入れコストが高くかかるため、本部が大量一括仕入れをすることで商品数が多くても仕入れコストを抑えることができます。
また、各店舗からの販売情報を集約、ノウハウを蓄積、活用し収益を向上させることで、より規模を拡大することが可能です。
スーパーマーケット(SM)
スーパーマーケット(SM)は、経済産業省の商業統計調査上で「専門スーパー」に分類されます。
専門スーパーとは店舗面積が250㎡以上、販売方法はセルフサービス方式、取り扱い商品において衣食住のいずれかの割合が70%を超える店舗です。
一般的に食料品の割合が70%以上の専門スーパーをスーパーマーケットと呼びます。
SuSとの違いは、SuSが食料品以外の商品が全体の半分以上に対して、SMは大半が食料品であるという点です。
SMの特徴は食料品中心の品揃えでは食材だけでなく、惣菜やお弁当、家庭内食事向け商品も多く揃えています。
またセルフサービス販売方式であることで、人件費を抑え商品を安価で提供できます。
消費者としては、販売員に気兼ねなくゆっくり買い物ができ、商品も安価で嬉しいですね。
SMは全国はチェーン展開ではなく、一定の地域展開に留めることでその地域のニーズに特化した品揃えをするなど、地域に密着した店舗形態となっています。
さいごに
今回は店舗形態別の小売業について、特徴や課題をご紹介しました。
それぞれの店舗形態で生き残るためにどのような工夫をしているのか、参考になりましたでしょうか?
今回ご紹介した店舗形態以外にもまだ種類があるので、そちらは別の記事でご紹介できればと思います。
ご一読いただき、ありがとうございました。